sakIzakimAkio’s blog

ひとりごとです。

蠍の話 / 宮沢賢治(銀河鉄道の夜)

「ああ、わたしはいままで、いくつのものの命をとったかわからない、そしてその私がこんどいたちにとられようとしたときはあんなに一生けん命ににげた。それでもとうとうこんなになってしまった。ああなんにもあてにならない。どうしてわたしはわたしのからだを、だまっていたちにくれてやらなかったろう。そしたらいたちも一日生きのびたろうに。どうか神さま。私の心をごらんください、こんなにむなしく命をすてず、どうかこの次には、まことのみんなの幸のために私のからだをおつかいください。って言ったというの。そうしたらいつか蠍はじぶんのからだが、まっ赤なうつうくしい火になって、よるのやみを照らしているのを見たって」